医学翻訳の仕事 Menu

医学翻訳とは

学術関連翻訳の中でも医学翻訳においては、医学関連の専門用語に関する正しい理解が不可欠です。仮に些細な翻訳ミスであってもそのことが原因で時には生命を脅かすほどの取り返しのつかない結果を招く場合があります。
そのため医学翻訳においては医療関連施設での体験を持つ人がその後転向して翻訳の分野に進出する傾向が多く見られます。
もちろん翻訳技術が優先して、その後医学関連の知識を学習する場合もありますが、こうした場合では適格な翻訳ができるようになるまでにはかなりの困難と、知識修得を目的とした徹底的な研究が必要であると言うことを覚悟しておいた方が良いかも知れません。

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医学翻訳では医学のあらゆる場面での翻訳が対象となります。
前臨床、臨床、医療機器、医療システム、医薬システム、ヘルスケア、介護、医療施設、栄養学、バイオテクノロジー、毒性、漢方関連、殺虫剤、人工臓器、臓器移植、各種医療検査、GMP(製造管理および品質管理規則)ガイドラインなどその範囲は実に多岐に渡り、一個人がこうした全ての医学関連の翻訳を引き受けることは事実上不可能であり、自ずと得意分野が限られてくることになります。
また最近の傾向としては、MedDRAに準拠した翻訳が求められる機会が多くなってきました。
MedDRAとは医療に関する国際レベルでの情報の交換や共有を円滑かつ迅速に行うことを目的とした、症状、兆候、疾患などに関する医学用語上の取り決めのことです。
国際的に共通する医学用語の普及を目指して医薬品規制ハーモイゼイション国際会議(ICH)にて提唱されました。

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医学翻訳作業の流れ

ではここでは実際の医学翻訳がどのような流れで行われるか、作業の手順に従って見てみましょう。作業の流れは個人で翻訳を行っている場合と翻訳コーディネーターや翻訳会社を通じて受注した場合で変化しますが、ここでは一般的な翻訳会社を想定しています。

1.医学翻訳の受注
まずは営業部などのセクションで業務を受注した後、翻訳コーディネーターなどに内容を引継ぎます。翻訳コーディネーターは顧客のニーズや依頼の内容に最も適した人材を経験やスキル、過去の制作実例などに基づいて構築された自社内のデータベースを活用することによって振り分ける作業をします。医学関連の翻訳においてはその内容が医療、医療事務、臨床、医薬品関連、ヘルスケア、介護、臓器移植など非常に多岐に分かれているため、依頼内容に対応した専門分野を持つ翻訳者を選別することが仕事全体のカギを握る大きな要素となります。また得意分野が合致した翻訳者を選択することは時間や経費の面でも大きな効果があります。

2.翻訳作業
コーディネーターから翻訳者に業務指示書や電話によって翻訳の指示を出します。翻訳者は顧客の求めるニーズに配慮しながら納期までに翻訳を完成させます。

3.校正、納品前チェック
翻訳者から送られた内容は品質管理などを主作業とするスタッフにより用語の適格性や誤字脱字、固有名称、資料の正当性や著作権違反などがないか、さらに読みやすさなどを徹底的にチェックされます。基本的にチェックをするスタッフは翻訳者と同等以上の翻訳能力を有するものが担当します。

4.納品
最終チェックを通過した翻訳はすぐさま顧客に納品されます。

5.顧客による訂正および作業費用の請求
厳しいチェックを受けた翻訳であっても顧客の意向によって一部修正が入ることが良くあります。必要な訂正を施した上で最終的な納品となります。
以上が修了した時点で顧客に対し翻訳代金を請求します。

医学翻訳のニーズと将来性、収入について

医療の多様化や高齢化、最新医療技術の発展などにより今後も医学翻訳の必要性は増大していく傾向にあると思われます。ただし今でさえ細かな専門分野に分かれているものが今後はいっそう細分化されるため、医学翻訳者に対してはより高度の知識や新しい知識の修得などが求められることになるでしょう。
また医学翻訳者を目指す場合は、通常では医療関連での教育課程を経て同時に翻訳に関連する技術を習得し、自己のスキルを磨いていくという流れが多いようです。
ある程度実力が身に付いた時点で翻訳会社などの採用試験を受けますが、この際には必ず与えられた課題に対するテストライティングが実施されます。

首尾よくテストライティングにパスし医学翻訳者として登録された後でも、最新の情報を吸収するための日々の努力は必要です。医療関連の業界新聞を購読したり、各種セミナーでの研修、医学関連の洋雑誌なども日常的に購読する必要があります。また意外と忘れられやすいことですが、内容的には誤りのない翻訳でも、文章として読みやすいかと言うことは別の問題です。
同じ内容を伝えるにもいかに読みやすく、伝わりやすい文章にしていくかと言う努力も忘れてはいけません。
医学翻訳者の収入に関しては、翻訳会社などに所属するのか、フリーとして仕事を受注するのかなどの雇用形態によって大きく開きがあります。またフリーとして個人で翻訳を行う場合は、仕事の受注量にもムラが出やすく安定させることはかなり困難です。とは言え専門性がはっきりとし、しかも指名されての受注をこなせるようなレベルになれば年収1000万円を超えるような医学翻訳者も多数存在します。